2.奇形山(午前 6:00)

 小さな街。安穏な住宅街を形成する建造物の平等。モザイクのひとコマを
担う、ある青い屋根の家。その二階の一室で男は寝ていた。しかし、起きて
いた。枕に埋まった頭部の表面で、けだるく開かれた両目。敷かれた布団
の上でなだらかな山を模す体は明らかな睡眠状態でありながら、突然動き
出し器用なしぐさで煙草に火をつけてしまう両腕。男は、今まさに寝ようとす
る、あるいは、起きようとする状態にあった。
 男は、ひんやりとした湿り気のある闇がいつものように太陽の気配を察知
して逃げ出す頃から事の成り行きをうかがっていた。ただし、あらゆる感覚
を、すべての神経を、そこに集中させていたわけではなく、男の両目は、この
部屋の窓に付着した水の一滴を、もしくはその全体を、あるいはその全体の
向こう側にある灰色の風景を、見つめている風であった。
 薄手の掛け物が奇妙な様子で男にまとわりついていた。膝から下は隠し
ているのに、腹や腕の部分へ来ると男に下敷きにされ、下着だけを身に着
けた尻は完全に放たれていた。しっとりとした土がかぶさった枯葉、また、枯
葉がかぶさった土のようにも見えた。乱暴な性交渉の後の恋人同士が送る
耽美的なひとときを思わせるが、この部屋には男がひとり、いるばかりである。


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written by S.O.A.P

最初公園外伝「太陽と奇形山」

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